「カトラリー」について
そもそも「カトラリー」って何を指すの?
「カトラリー」は食事の際に使う道具、つまり、スプーンやフォーク・ナイフなどを総称して呼ぶ際に使われます。
カトラリーが生まれた背景と歴史
カトラリーが生まれたのは中世のヨーロッパ。ちなみに、カトラリーが登場する以前は手づかみで食べられていたそう。
ナイフの歴史
1番最初に生まれたカトラリーは「ナイフ」。12世紀頃、大きな肉の塊などを切り分けるのに1つだけナイフが用意されていました。
1人1つずつナイフを持って食事するようになったのは、15~16世紀頃。各自がナイフを持参して食事をしていたようです。
スプーンの歴史
古代から「スプーン」のような調理道具や化粧道具は使われていましたが、カトラリーとして使われるようになったのは15世紀頃。とはいえ、庶民には手の届かない高級品でした。
一般的にスプーンが使われるようになったのは17~18世紀頃のこと。また、スプーンには、カトラリー以外に宗教的な要素も。キリスト教では、”洗礼”の贈り物として赤ちゃんにスプーンを贈る習慣があります。
その際、富裕層で当時貴重だった銀を使ったスプーンが贈られていたことが、赤ちゃんの幸福を願って出産祝いに銀のスプーンを贈るようになったはじまりなのだそうです。
フォークの歴史
意外にも、なかなか人々に浸透しなかったのが「フォーク」。フォークが初めて食卓に登場したのは11世紀頃のイタリア。ビザンチン帝国のお姫様の結婚を祝って開かれた宴の中で、食事をする際に使われたそうです。
カトラリーの種類や素材って?
ひとことにカトラリーと言っても、その種類はたくさん。スプーン1つにしてもスープ用やデザート用などと細かく分かれていますよね。そこで、カトラリーの主な種類や素材についてご紹介します。
カトラリーの主な種類
ナイフ
- テーブルナイフ
- フィッシュナイフ
- デザートナイフ
- フルーツナイフ
- バターナイフ
最もオーソドックスなナイフ。正式には肉料理を食べる際に使います。約24cmと長く、いろいろな料理に使えることから、一般的によく使われています。
出典:Noritake
長さ約22cmほどの魚料理を食べる際に使うナイフ。魚料理を食べやすいように工夫された独特の刃の形をしています。中には、刃の部分に模様やデザインが入っているものも。
基本的な形はテーブルナイフと変わりませんが、長さ約22cmほどとテーブルナイフに比べてやや小さめ。デザートやパンケーキを食べる際に使います。
長さ約18cmとデザートナイフより小さくてスリム。フルーツやパンケーキを食べる際に使います。
出典:Noritake
長さ約15cmとフルーツナイフよりさらに小ぶりで、バターを扱いやすいよう工夫された刃の形と、持ち手と刃の間につけられた絶妙な角度が特徴的です。
フォーク
- テーブルフォーク
- フィッシュフォーク
- デザートフォーク
- フルーツフォーク
- ケーキフォーク
- ヒメフォーク
最もオーソドックスで、長さは21cmほど。欧米でよく使われているポピュラーなフォークです。
出典:Noritake
長さ約19cmの魚料理を食べる際に使うフォーク。魚料理を食べやすいように工夫された形状で、模様やデザインが施されていることもあります。
基本的な形はテーブルフォークと同じですが、長さ約19cmとテーブルフォークよりやや小さめ。主にデザートを食べる際に使いますが、日本では前菜やメイン料理を食べる際にも使われています。
約16cmほどの長さでフルーツナイフ同様にスリム。フルーツナイフと併せて、フルーツやパンケーキを食べる際に使います。
長さ約14cmとフルーツフォークよりやや小さめ。ケーキやフルーツを刺して食べやすい形に工夫されています。
基本的な形はテーブルフォークと同じですが、長さ約12cmとテーブルフォークに比べてとても可愛らしいサイズ。他国では珍しいサイズであることと、「ヒメ=姫」であることから、日本発祥とされているようです。
ひとくちサイズのフルーツやケーキなどを食べる際に使います。
スプーン
- テーブルスプーン
- デザートスプーン
- スープスプーン
- ブイヨンスプーン
- ティースプーン
- コーヒースプーン
- アイスクリームスプーン
長さ約20cmの最もオーソドックスなスプーン。メイン料理を食べる際に使います。
長さ約18cmとテーブルスプーンより小さめ。本来はデザート用のスプーンなのですが、日本を含むアジア各国ではメイン料理を食べる際も、こちらのサイズで十分とされているようです。
出典:Noritake
長さ約18cmほどとデザートスプーンと変わりありませんが、スープをすくいやすいように工夫された丸く特徴的な形をしています。
出典:Noritake
約15cmとスープスプーンに比べて小さめ。カップなどのブイヨンスープを飲む際に使う器に合わせてつくられています。
基本的な形はテーブルスプーンやデザートスプーンと変わりませんが、長さ約14cmとかなり小ぶりに。紅茶を飲む際のカップ&ソーサーに添えておき、紅茶にミルクや砂糖などを入れてかき混ぜる際に使います。
基本的な形はティースプーンと変わりませんが、長さは約12cmとさらに小ぶり。コーヒーを飲む際のカップ&ソーサーに添えておき、コーヒーにミルクや砂糖などを入れてかき混ぜる際に使います。
出典:Noritake
アイスクリームを食べやすいように工夫された、浅く平たい形が特徴的なスプーン。長さは約13cmほど。
どの種類のカトラリーを揃えたらいいの?
欧米人に比べて小柄な日本人にとって、食事の際に使いやすくておすすめなのが、本来使うとされているテーブルナイフ・フォーク・スプーンに比べてやや小さめの、デザートナイフ・フォーク・スプーン。それから、デザート用にケーキフォークとティースプーンを。
ちなみに、ケーキフォークとティースプーンに関しては、少し多めに用意しておくと来客時に便利ですよ。
カトラリーの主な素材
カトラリーの主な素材は3つ。
- 純銀
- 銀メッキ
- ステンレス
まず最初にご紹介するのが、3つの素材の中で最も高級とされている「純銀」。見た目の美しさだけでなく、抗菌効果や熱伝導率良さなど機能面でも最上とされています。
次にご紹介するのが「洋白銀器(=銀メッキ)」。銅・ニッケル・亜鉛合金を混ぜて作られた、洋銀や洋白もしくはニッケルシルバーと呼ばれている合金の表面に純銀をコーティングしたものです。
見た目や質感・重さなど、純銀とさほど変わらないクオリティーのものが安価で手に入ることでたちまち人気となり、銀のカトラリーが一般に広く使われるきっかけともなりました。
それから、最後にご紹介するのが「ステンレス(=ステンレススチール)」。3つの素材の中で最も安価でありながら、見た目の良さや耐食性が高いのが特徴。
今や一般的なカトラリー=ステンレス製と言われるほど、最も人気でポピュラーな素材です。ステンレス誕生のきっかけとなったのが、1820年代、イギリスの物理学者ファラデーによるサビにくい合金の発見。
当初は鉄にクロムを添加したものでしたが、20世紀初めから、現在のクロムとニッケルを含む合金組成が登場したのだそう。
また、クロムとニッケルを含む割合は、カトラリーの持ち手の裏に「13-0(クロムを含む割合が13%)」「18-8(クロム18%・ニッケル8%)」「18-10(クロム18%・ニッケル10%)」などと表記されていて、クロム・ニッケルともに含有率が高いほどグレードが高いとされ、見た目にも美しく、耐食性に優れています。
おすすめの人気カトラリーブランド
日本のカトラリーブランド
日本が世界に誇るメイド・イン・ジャパン。日本人ならではのこだわりや繊細さが詰まったカトラリーは、世界中から高く評価されています。
柳宗理(やなぎそうり)
日本を代表するプロダクトデザイナー、柳宗理さんが手がけたカトラリーは、シンプルでありながら、丸みのある優しい印象。発売当初の1974年から現在に至るまで長い間愛され続けています。
持ちやすく、使いやすいよう設計された柳宗理のステンレスカトラリー。長さ18.3cmと、子どもも使える手頃なサイズ感で、普段使いにもピッタリですね。
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Noritake(ノリタケ)
創業以来100年以上もの長い歴史を持つNoritake。伝統を守り抜いてきた熟練の見事な技の光る、上品で美しいデザインが特徴的です。
一切の妥協を許さずにつくり上げられる製品からは、品質の高さはもちろん、職人たちのものづくりに対する熱い姿勢が伝わってきます。
・ROCHEFORT(ロシュフォール)
美しいフォルムが特徴的な、ROCHEFORTシリーズ。無駄を省いたシンプルなデザインなので、和・洋・中どの食事にも合わせることができます。
LUCKEYWOOD(ラッキーウッド)
「LUCKEYWOOD」は1868創業の老舗メーカー「小林工業」が手がける、日本でも有数のカトラリーブランドです。
いつまでも変わらない美しさを追求し、長い歴史をかけて磨き上げられた技術と、卓越した職人技によって生み出される製品の数々には、良いものを長く使って欲しいとの思いが込められています。
・Scandinavia(スカンジナビア)

モダンでスタイリッシュな「Scandinavia」シリーズ。軽くて扱いやすい細めのフォルムで、表面には上品で美しい輝きを放つミラー仕上げが施されています。
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YAMACO(ヤマコ)
「YAMACO」は、世界の名だたるホテル・レストランや、ノーベル賞晩餐会で使われるなど、世界中で支持され高い評価を得ている1918年創業の老舗メーカー「山崎金属工業」が手がけるオリジナルブランドです。
安全かつ環境保全を考慮してつくり上げられる上質な製品からは、職人たちの持つ技術の高さがうかがえます。
・EBONY(エボニー)

シンプルかつモダンな雰囲気の「EBONY」シリーズ。持ち手部分には天然の木が使われています。世界水準の品質を誇るカトラリー。ぜひ1度使ってみたいですよね!
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北欧のカトラリーブランド
「マリメッコ」や「リサ・ラーソン」など北欧ならではの独特のデザインで、日本でも人気の北欧ブランドは、もちろんカトラリーにおいても高い人気を誇っています。
Kay Bojesen(カイ・ボイスン)
デンマーク御用達のブランド「Kay Bojesen」。”Kay Bojesen”はデザイナーの名前で、製品をつくっているのは、ステンレスで世界的に有名な新潟の燕三条。品質・機能性・デザイン性と、どれも高く、毎日使いたくなる逸品ばかりです。
シンプルでマットな、普段使いしやすいディナーナイフやフォーク、スプーンなどが揃っており、どちらも口当たりなめらかで握りやすく、一度使うと、きっとやみつきになりますよ!
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GEORG JENSEN(ジョージ ジェンセン)
100年以上の長い歴史を誇る、デンマーク王室御用達ブランド「GEORG JENSEN」。時計・ジュエリー・ホームプロダクトと、あらゆるジャンルで、上質で美しく芸術的な作品を世に送り出し続けています。
・ARNE JACOBSEN(アルネ ヤコブセン)
北欧の有名な建築家”ARNE JACOBSEN”がデザインを手がけた、芸術的なカトラリーシリーズ。テーブルに登場するだけで、テンションが上がりそうですね。
ちなみに、あの有名なスタンリー・キューブリック監督の映画作品「2001年宇宙の旅」の中で使われたのだそうですよ。
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iittala(イッタラ)
1881年フィンランド・イッタラ村発祥の、日本でもおなじみのブランド「iittala」。
有名な革新的デザイナー陣と、卓越した技術を持つ職人によって生み出されるクオリティの高い製品は、今もなお世界中の人々を魅了し、愛され続けています。
・Citterio 98(チッテリオ 98)
シンプルな中にも、独特の美しいフォルムが際立つモダンなデザインが特徴的なシリーズ「Citterio 98」。
手にしっくりとなじみやすく、上品なツヤ消し仕上げなので、日常はもちろん、大切なゲストをお招きする機会など、いろいろなシーンで活躍します。
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GENSE(ゲンセ)
1856年創業、スウェーデン王室御用達の歴史ある由緒正しいブランド「GENSE」。
ブランド名のGENSEは、創業者Gustav Eriksson(グスタフ エリクソン)・銀メッキ工場(=NySilverfabrik)・銀メッキ工場のあるスウェーデンの都市Eskilstuna(エスキルストゥーナ)それぞれの頭文字を取って名付けられました。
ノーベル賞晩餐会で毎年使われているGENSEのカトラリー。信頼と品質の高さがうかがえますね。
・APPETIZE(アペタイズ)

個性的でスタイリッシュなデザインは、日本のお茶の葉から発想を得て生まれたものなのだそう。見た目の美しさだけでなく、持ちやすさなどの機能美にもこだわってつくられています。
食卓に登場すれば、きっとみんなの注目の的に。
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フランスのカトラリーブランド
カトラリーの歴史に登場したフランス。その長い歴史に育まれたカトラリーは、他国にない独特のセンスが光ります。
Laguiole(ライヨール)
「Laguiole」は、1920年創業の、小さな工房からはじまったJean Dubost(ジャン デュボ)社が手がけるブランド。
中でも、ナイフは200年以上の歴史を持ち、製品に刻まれている”蜂”のマークは、生産地であるティエールのシンボルともなっています。
可愛らしくておしゃれな雰囲気で、女性をはじめとして人気の高いLaguioleのカトラリー。握りやすさや切れ味の良さなど、見た目だけでなく機能面でも高い評価を得ています。
ほかにあまり見ないデザインは、ギフトにも喜ばれそうですね。
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Christofle(クリストフル)
1830年創業のラグジュアリーブランド「Christofle」。
フランス王ルイ・フィリップやナポレオン3世など有名な歴史上の人物たちから愛され、現在では世界中の大使館や有名ホテル・レストランで使われるなど、老舗シルバーウエアブランドとして確固たる地位を築き上げてきました。
Christofleが生み出す、伝統的で最高品質を誇る製品の数々はまさに芸術作品。思わず、うっとりと眺めてしまいたくなります。
・パール
まるで真珠をまとっているかのような、クラシカルで気品あふれるデザインの「パール」。とっておきのカトラリーは、特別な日や、大切なゲストをお招きする際に使いたくなりますね。
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イタリアのカトラリーブランド
歴史上で、最も早い時期から食卓にフォークを取り入れたイタリア。パスタやピザなど独自の食文化と、ファッションへの関心の高さは、カトラリーにも影響を与えているようです。
Rivadossi Sandro(リバドッシサンドロ)
創業以来およそ50年、世界中で愛されているイタリアの老舗ブランド「Rivadossi Sandro」。
クラシカルな中にも、革新的なデザインと機能を取り入れた高品質で美しい製品の数々は、国内はもちろん、世界中の人々を魅了し続けています。
・LAURA Silverカトラリー
出典:sarah grace
上品で美しく、個性の光る人気シリーズ。細かな装飾が華やかで、1つ1つ持ち手の模様の出方が違うのも、味があって面白いですね。
Sambonet(サンボネ)
1826年設立の老舗ブランドSambonet。その確かな品質と機能美は世界から高く評され、数々の受賞歴を持つ世界的トップブランドです。
・H-ART(ハート)

「H-ART」と名付けられた、キュートな雰囲気のシリーズ。シンプルで洗練されたデザインの中、ハート形にカットされた持ち手がポイント。女子会や、ママ友ランチにも喜ばれそうなデザインですね。
イギリスのカトラリーブランド
広く使われるようになったのは18世紀頃と遅れをとったとはいえ、カトラリーの長い歴史に関わるイギリス。
「紳士の国」と評されるように、どこか紳士的で、伝統や文化を大切にし、芸術好きな傾向にある国民性が、カトラリーにも表れているようです。
Arthur Price of England(アーサープライスオブイングランド)
イギリスのほとんどのデパートで見かけられるほど、イギリスではとても有名な老舗銀器メーカー「Arthur Price」。
100年以上もの長い歴史を持つArthur Priceが展開するブランドの中で、最高級とされるイギリス王室御用達ブランド「Arthur Price of England」。由緒正しい伝統的なデザインが特徴的です。
リッツホテルなどの五つ星ホテルで使われているほか、映画にもなったあの有名なタイタニック号でも使われていたのだそうですよ。
・Royal Pearl(ロイヤルパール)

1990年にエリザベス王太后が90歳になられた際、お祝いとしてつくられ、イギリス王室に納められたのが、こちらの「Royal Pearl」シリーズ。
まるで貝殻のような気品あふれるデザインは、特別な日や、大切な人のおもてなしする際にもピッタリですね。
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ポルトガルのカトラリーブランド
世界中で注目を浴びている、日本でも人気のあのブランド。実はポルトガルのブランドだったんです。
Cutipol(クチポール)
ポルトガルを代表する老舗ブランド「Cutipol」。日本でもおしゃれなレストランやカフェなどでよく見かけるほど、人気・注目度ともに高いブランドです。
高いデザイン性と機能性を併せ持つ独自の製品は、人間工学基づき、優れた職人の手によってつくられたもの。毎日の食卓を盛り上げてくれる、幅広いデザインのシリーズが展開されています。
・GOA(ゴア)
シンプルかつモダンで、華奢なデザインの「GOA」。樹脂でできた細い持ち手は持ちやすく、速乾性にも優れています。
独特のセンスを感じさせられるGOAは、和モダンや北欧テイストなど、あらゆるテイストにもマッチします。テーブルコーディネートにこだわりたくなりそうですね。
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ブランド物のおしゃれなカトラリーで、いつものテーブルがもっと華やかに
紆余曲折しながらも長い歴史を経て確立してきた、とっても奥深いカトラリーの世界。普段使いにピッタリなものから、うっとりと眺めていたくなるハイエンドなものまで、選ぶのに迷ってしまいそうなくらい、今やバラエティ豊か。
テーブルコーディネートがマンネリ化していたり、いつもと食卓の気分を変えてみたい場合、カトラリーを変えてみるのも良いものですよ。お気に入りのカトラリーを手に入れたら、きっと、いつもよりもっと食事の時間が有意義なものになりますね。
よかったら、今回ご紹介した内容を、カトラリー選びの参考にしてみてくださいね。