お家で洗濯できるスーツが急増
スーツはウールなどのデリケートな素材で作られていることが多いので、クリーニングに出すものと認識されてきました。
最近は技術の進化に伴い、洗えるスーツが増えてきているんです。洗えるスーツは「ウォッシャブルスーツ」として販売されています。自宅で洗濯しても糸がほつれない縫い方になっていたり、毛羽立ちや縮みの少ない生地で作られています。
スーツをお家で洗濯する前のチェックポイント
スーツをお家で洗濯する前のチェックの方法をご紹介します。
洗濯表示を確認しましょう
衣類の内側についているタグに書いてある洗濯絵表示マークを必ずチェックしましょう。
「洗濯機洗い可」「手洗い可」のマークがついていたら自宅で水洗いが可能です。「水洗い不可」マークがついていたら自宅での水洗いはできませんので、クリーニングに出しましょう。
実際に持っているスーツの洗濯絵表示を確認してみてください。水洗い可能なマークがついていたら、自宅でスーツが丸洗いできますよ。
色落ちしないか事前にチェック
スーツによっては色落ちしてしまうものもあります。洗濯をする前に目立たない場所で色落ちしないかどうかチェックをしておきましょう。
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【準備物品】
- ティッシュ
- 実際に使用する洗濯洗剤
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【手順】
- ティッシュに洗濯洗剤の原液を少量つけます。
- 洗剤がついたティッシュをスーツの目立たないところに当てます。
- 5分そのまま放置します。
- 色落ちしていないか確認します。
ティッシュにスーツの色がついてなければ、安心して自宅で洗濯ができます。もし、色が移っていたら、自宅で洗濯するのはやめておきましょう。
スーツを洗う前にひと手間
洗濯する前にスーツにブラシをかけて、ほこりや糸くず、髪の毛などを取り除いておきましょう。また、汚れなどがあれば直接洗濯洗剤をつけておきましょう。
スーツ洗濯の方法
スーツの洗濯は、できれば手洗いで優しく洗うことをおすすめ。時間がない、手洗いは面倒だという方のために洗濯機で洗う方法、シャワーでのお手入れ方法もご紹介します。
スーツを手洗いで優しく洗おう
スーツなどのおしゃれ着は、型崩れや縮みの原因になるので揉み洗いはせず、優しく押し洗いをしましょう。
スーツを丁寧に畳みます
- ジャケット(上着)
- ボトムス
型崩れ防止のため、上着はボタンを全て開け、袖を前身ごろにのせ二つ折りにたたみます。
ひっかかりを防ぐために、ボタンやファスナーは全てしめましょう。ズボンは汚れやすい、裾、ヒップ、ウエストが表になるように蛇腹折りにします。スカートは2つ折りにします。
準備物品
- 必要であれば洗濯桶
- おしゃれ着用洗濯洗剤
おしゃれ着用洗剤は洋服のダメージを最小限にして、優しく洗うため中性洗剤のものがほとんどです。スーパーでもおしゃれ着用洗剤は手に入ります。最近はとてもおしゃれなパッケージで環境にも優しいおしゃれ着用洗剤がたくさんあります。
・ザ・ランドレス
「ザ・ランドレス」はニューヨーク生まれで、おしゃれな人に人気のファブリックケアブランドです。おしゃれなパッケージなので、飾るだけでインテリアの一部になりそうですね。石油系原料は使われておらず、植物性原料のみの環境に優しい洗剤です。
・pasha basha(パシャバシャ)
こちらは、洗剤メーカーがお家でもクリーニングできるようにと研究して発売されたお家クリーニング洗剤です。今までクリーニングに出すしかできなかった衣類が、「パシャパシャ」を使えばお家でお手入れができます。
・マーチソンヒューム
日本でも人気のある「マーチソンヒューム」。おしゃれなデザインのボトルは置いておくだけで、インテリアの一部になります。
おしゃれだけでなく、こだわりの素材で作られていて、植物由来の素材だけで作られていて環境にも優しく、肌にも優しいのも嬉しい魅力。香りが良いのも人気の理由です。
手洗いの方法
- 洗濯桶かシンクにぬるま湯をため、おしゃれ着用洗濯洗剤を適量入れ溶かします。
- 畳んだ衣類を優しく押し沈め、20~30回押し洗いをします。この時に強く押したり、揉み洗いはしないでください。生地が傷む原因になります。
- 10分くらいつけ置きします。
- ひっくり返して10分つけ置きします。
- 水を入れ替えて、やさしく押し洗いをしながら、すすぎます。泡がでなくなるまで2~3回水をかえてくりかえします。
洗濯するときの水温は低すぎると汚れ落ちが悪くなるので、理想の水温は20~40℃です。ウールのスーツを洗濯する場合は熱に弱いので30℃以上の水温だと、縮んでしまいます。
また手洗いの場合は水を何回か入れ替えて洗いますが、洗い始めと終わりの水温が極端に違うと洋服が縮む原因になります。水温はなるべく一定に保つように洗濯しましょう。
スーツを洗濯機のドライコースで簡単に洗おう
日々、洗濯機の機能は進化していて、ほとんどの洗濯機に「ドライコース」「おうちクリーニングコース」「おしゃれ着洗いコース」などといった機能が搭載されているんです。
手洗いする時間がない、手洗いは面倒だという方は洗濯機のドライコースでスーツを洗濯する方法をご紹介します。
準備物品
- おしゃれ着用洗濯洗剤
- 洗濯ネット
手順
- 丁寧に畳んだスーツを洗濯ネットにいれます。この時、衣類の摩擦を防ぐために、上着とボトムスは別々のネットにいれましょう。
- 洗濯機のドライコースで洗濯をします。この時、流水を選べるのであれば弱流水を選択してください。
- 上着とボトムスは色に差が出ないように、毎回一緒に洗濯することをおすすめします。
シャワーでサッと洗う方法
洗剤を使用しないので、スーツに浸み込んだ皮脂などはとれませんが、雨に濡れたり、汗を流したいなどの余洗いとしてシャワーでかけるだけの方法もあります。
やり方をとっても簡単で、ハンガーにかけたスーツをお風呂場にかけて、シャワーで流してそのまま干すだけ。絞らずにそのまま干すと、自重でシワが伸びてピシっと仕上がるのも魅力。
浴室乾燥機がついていれば数時間で乾くので、出張先などのホテルでも出来そうですね。
スーツの干し方
スーツは洗濯後の干し方に注意が必要です。洗濯が終わったら、すぐに干してシワにならないようにしましょう。直射日光の当たらない、風通しの良い場所に吊り干ししてください。
- 上着
- ボトムス
上着は軽く叩いてシワを伸ばしながら太めのハンガーに形を整えて丁寧に干しましょう。
もし、細いハンガーしかない場合はハンガーの肩の部分にタオルを巻いて干すと型崩れを防ぐことができ、さらに乾きやすくもなります。この時サイズに合わせたハンガーを選ぶようにしてください。
手で軽く叩きながらシワを伸ばし、良く乾くように裏返しにして、ピンチハンガーを使って筒状になるように干しましょう。
センタープレスがあるズボンは、センタープレスに沿って折り、裾から逆さに吊り干しすると自重でピンとした仕上がりになりますよ。
アイロンをかけましょう
自然乾燥したスーツはどうしてもシワができてしまいます。アイロンをかけてピシッとしたスーツに仕上げましょう。
ウォッシャブルスーツはシワができにくい作りになっています。洗濯後にスーツを観察してみて、シワやよれが気になるところだけアイロンをかけるだけで綺麗に仕上がりますよ。スーツのアイロンがけのポイントをご紹介します。
洗濯絵表示でアイロンの温度を確認
スーツの素材によって適切な温度がありますので、タグを見て確認しましょう。間違った温度でアイロンをかけてしまうと、生地が傷んだり、折り目などが強くつきすぎてしまいます。
あて布をしてアイロンをかける
直接アイロンをあてると生地が傷むことがあるので、あて布をしてからアイロンをかけるようにしましょう。あて布は綿100%の薄い手ぬぐいやハンカチのようなものでOkです。
ジャケットは部分ごとに丁寧にアイロンをかける
肩、袖部分は肩から袖に向かってアイロンをかけてください。この時、タオルなどを丸めて袖の中に入れてアイロンをかけると、より立体的に仕上がりますよ。
背中のアイロンがけで気をつけることは、背中に入った切れ目です。切れ目以外の背中部分をアイロンがけした後に、切れ目を1枚ずつ引っ張りながらアイロンを丁寧にかけましょう。
前身ごろはボタンをはずしてアイロンをかけましょう。襟はスーツの印象を左右しますので、しっかりとアイロンをかけておきましょう。
スラックスのアイロンがけのポイント
腰周りをぐるりと1周アイロンをかけます。ポケット入り口がモノを取り出したりすることが多いので生地がたるみがちなのでアイロンを軽く押し付けるようにして形を整えましょう。
股の部分は余計なシワが入らないように引っ張りながらアイロンをかけます。スラックスで一番重要なのはセンターラインです。片方ずつ、センターラインをしっかり折り曲げてアイロンをかけていきましょう。
裾は裏地からアイロンをかけてください。
日々のお手入れ方法
スーツのお手入れは洗濯だけではありません。普段からお手入れして、スーツを綺麗にたもちましょう。ここではスーツを綺麗に長持ちさせる日々のお手入れ方法を3つご紹介します。
スーツのブラッシング
スーツを着たあとは、すぐにハンガーにかけて洋服ブラシでブラッシングしましょう。スーツを長持ちさせるためには洋服ブラシでのブラッシングは欠かせません。
ブラッシングで汚れが落ちる
ブラシの細やかな毛が繊維の隙間に入りこんでしまった汚れやほこりを取り除いてくれます。1日着用したスーツは見た目は綺麗でも、案外汚れているものです。
専用の洋服ブラシでブラッシングすることで繊維を傷めることなくホコリや汚れ、花粉までも取り除いてくれるんですよ。
ブラッシングをするとスーツに光沢が出る
スーツにブラッシングをすることで、乱れてしまった繊維に空気が通り、ふわっとした質感が戻ってきます。
1日中着たスーツは圧力で、繊維が潰されている状態です。ブラッシングをすることで、繊維が起き上がり、流れが整うので光沢が出るんですよ。
クリーニングや洗濯の回数が減る
毎日、ブラッシングをすることで、スーツが綺麗な状態が保てるようになるので、クリーニングや洗濯の回数も減ります。
洋服ブラシの選び方
仕事で毎日のようにスーツを着る方は良いブラシを選びましょう。良いブラシを1本持っておくと、安心してスーツのお手入れができ、長く使うことができます。スーツのブラシ選びで重要な3つのポイントをご紹介します。
- 素材
- 硬さ
- 持ち手
素材は静電気が起きにくい、豚毛や馬毛の天然素材がおすすめです。静電気が起こると逆にホコリがつきてしまいます。
スーツは細かい折り目でしっかりとした生地で作られているので、硬めのブラシがおすすめです。
毎日使うものなので、実際に持ってみて自分の手に馴染む形やサイズを選んでください。天然木の持ち手は手に馴染みやすく、使うたびに味わいが出てきますよ。
おすすめの洋服ブラシ5選

大正3年創業の「かなや刷子」は馬毛、豚毛、猪毛などの天然毛を使ってブラシを作り続けている人気のお店です。こちらの服用ブラシには長くて柔らかい馬毛をしようされています。優しく、服のホコリや汚れを取り除いてくれますよ。
襟や袖など細かな部分にもブラシが当てられるようにヘッドが細めになっているので使いやすいんです。天然毛に天然木で作られたブラシは毎日のスーツのお手入れの時間を心地よくしてくれそうですね。
楽天市場
Yahoo!ショッピング
イギリス王室御用達の伝統あるブラシブランドの「KENT」。黒豚毛を使ったブラシ面が大きく、毛足も長いのでお手入れしやすそうです。
楽天市場
Yahoo!ショッピング
出典:ブラシの平野
1942年創業のブラシ専門店の「ブラシの平野」。上質な馬の尾の毛を使用して職人さんの手作業で丁寧に作られています。
お値段はお高めですが、上質なのでカシミアなどのデリケートな洋服にも安心してブラッシングをすることができ、一生ものの洋服ブラシです。手のひらでブラシを包みながらブラッシングをするので軽く、使い心地も最高ですよ。
江戸時代からお客様に愛されるブラシを作り続けている老舗の「江戸屋」。テーラーの愛用者も多いそうです。様々な種類がありますが、おすすめはこちらの万能ブラシ。
コシのある豚毛を使ってありますが、良質な毛を職人さんの手で丁寧に植えられているのでデリケートな洋服もブラッシングOK。ウールのスーツからカシミヤのコートまでこれひとつでお手入れできます。
楽天市場
Yahoo!ショッピング
出典:無印良品
無印良品の洋服ブラシ。豚毛を使用され、持ち手はブナ材で作ってある洋服ブラシです。シンプルな形で、ブラシをちょっと試してみたいという方におすすめ。
1日休ませましょう
靴と同じようにスーツも同じものを毎日着ないで、交代で着るようにしてください。休ませながら着ることでスーツが長持ちします。
スチームアイロンをかけましょう
スーツを着ているといつのまにかシワになっていることがあります。そんな時には、気になる部分だけでOKなのでスチームアイロンをかけましょう。
ハンガーにかけた状態のままでできるので、短い時間ですみますよ。気になったらすぐにお手入れすることがポイント。
自宅でスーツの洗濯にチャレンジしてみましょう!
ウォッシャブルスーツは自宅で洗濯ができます。事前のチェックポイントや洗濯時や洗濯後の注意点が分かっていれば、自宅で簡単に洗濯ができるんです。
ブラッシングをかけて普段のお手入れをしながら、月に1回洗濯をして、季節ごとにクリーニングで出すなど、使い分けができます。
とくに暑い夏は汗をかくので、自宅で洗濯ができると深い汚れになる前に対処できますよ。ぜひスーツの洗濯にチャレンジして、いつでも清潔なスーツで出勤しましょう。