「バムとケロ」の世界が愛される秘密
作者の島田ゆかさんは、カナダのオンタリオ州在住。東京デザイン専門学校グラフィックデザイン科を卒業後、パッケージデザインなどを経て現在フリーの絵本作家として活躍なさっています。
優しさに満ち溢れた水彩画の世界観
コンピュータ・グラフィックが進んだ現代ですが、隅々まで丁寧に水彩画で描かれた、柔らかい絵柄に惹かれているという人も多いのではないでしょうか。まるでバムとケロのふたりの優しい世界そのもののようですね。
「驚くような展開は何もないけれど、読んでいる人が絵本の中の世界に入っていきたくなるような、そんな話にしたい」と島田さんが話しているように、この世界はごくありふれた日常のひとコマで成り立っています。
穏やかに流れる時間、美味しそうなお菓子、そして温かいお家の雰囲気。どれもみんなが理想としている世界だと思います。
北欧の「Pilla(プッラ)」という甘い菓子パンをみんなで囲んで食べるシーン
出典:Rakuten
また、島田さん本人がおっしゃっているように、バムとケロのシリーズには、絵本にありがちな「教訓」のようなものがありません。
読み手と同じ立場で語ってくれる物語こそ、私たちがこの絵本に親近感を覚える秘密なのかもしれませんね。
実は「一週間」の物語
第1作目のタイトルは「バムとケロのにちようび」。
実はこれ、1作目が日曜日、2作目は月曜日、3作目は火曜日…という続きの話になっているんですね。
タイトルは変わるのでいまいち気づきにくいですが、現在第5作まで出ているということは、「木曜日」まで終わったことに。残る金曜日と土曜日はどんなお話になるんでしょうか。楽しみですね。
次の話への、ちょっとしたヒントが散りばめられている
話自体は1本ずつ完結している「バムとケロ」のお話。ですが、よくよく見ると、文字では描かれていないいろんなストーリーを見つけることができます。
第1作「バムとケロのにちようび」で出てきた「ふしぎなひこうきじいさん」という本は、続く第2作「バムとケロのそらのたび」でも話のオチとして出てきます。
キャラクターも徐々に多くなっていくのですが、あの時あのキャラクターが持っていた持ち物が、この話ではどうなっているのか…? などなど、小さな発見を楽しめるのが楽しい絵本!
何度読んでも新しい発見があり、飽きることがないのが「バムとケロ」シリーズの人気の秘密なんですね!
「絵本」のページと「漫画」のような多彩なコマ割り
絵本は基本的に1ページに1つの大きな絵が入っていますよね。ですが「バムとケロ」の話の中には、漫画のように多彩な「コマ割り」のしてあるページも多々あります。
作者・島田さんがかつて漫画家になりたかった過去があるそうで、絵本にしては珍しい、こんなページ構成になっているのだとか。
まったりと隅々まで味わう「絵本」のページと、テンポよく話の進む「漫画」っぽいページが混じっており、そこも読者を飽きさせない工夫になっていると言えますね。
ページの中に漫画のようなコマ割りがしてあることも

魅力あふれるキャラクターの紹介
この絵本に出てくるのはもちろん「バム」と「ケロ」のふたり。バムはしっかり者の犬で、ケロちゃんは子供そのものな感じのキャラクターです。そして、他にも魅力的なかわいいキャラクターがたくさん! ひとりずつ見ていくことにしましょう!
主人公2人はどんな関係?
例えば、「バムとケロのにちようび」では、ケロちゃんが汚したおうちの掃除をしなきゃ、と頭を抱えるバムの姿が描かれています。
バムの役どころは、お友達でしょうか? それとも家族? 犬とカエルという関係も面白いですよね。
作者・島田ゆかさんの中では「二人とも大人じゃなく、対等な友達同士」という関係なのだそうです。だから、たまにケロちゃんがバムのお世話をしているように見えるシーンもあったり。見ていて微笑ましい二人です。
いつもお家で仲良くいっしょのバムとケロ
そそっかしくて散らかし屋の「ケロ」ちゃん
大きな目と大きな口の主人公「ケロ」
出典:絵本ナビ
カエルをモチーフに作られたキャラクター、ケロちゃん。男の子なのか女の子なのかもわかりませんが、きっと男の子のお子さんをお持ちの方には、自分の子供とダブって見えるのではないかと思います。
マイペースでとっても自由なケロちゃんですが、目を離すとすぐに家中を散らかしたり汚したり。読んでいるこちらはいつもハラハラしてしまいますが、いつもそばでバムが見守ってくれています。この二人ならではの穏やかな空気感が、この物語を印象付けていますね。
おっとり屋でお掃除大好きな「バム」
いつも広い心でケロを見守る、しっかり者の「バム」
出典:絵本ナビ
白い犬のキャラクター「バム」。面倒見が良くて包容力があるバムは、ケロちゃんがどれほど部屋を汚しても、怒ったり文句を言ったりせずにてきぱきと片付けています。そんなバムの姿につい、自分の姿を重ねてしまうママが多いのではないでしょうか。
ちなみにモデルになったのは「ブルデリア」というイギリス原産の白い犬。名前の由来はリンドグレーン著「ロッタちゃん」シリーズに出てくるブタのぬいぐるみ「バムセ」。
その他、作中で名前が判明しているキャラクター達も一緒にご紹介しますね。
アヒルのかいちゃん
おちゃめなアヒルのキャラクター、かいちゃん
出典:絵本ナビ
見た目は普通ですが、ちょっとおっちょこちょいなアヒルのかいちゃん。第3作「バムとケロのさむいあさ」で初登場するキャラクターです。何がおっちょこちょいかというと…それは読んでのお楽しみにしておきましょうね。
「趣味は天体観測」というから、意外とロマンチストなのかもしれません。最新作「バムとケロのもりのこや」では、ちゃっかり小屋の特等席で星空を眺めているかいちゃんの姿が見られます。そして、そこでもやはり、おっちょこちょいな姿を見せてくれますよ。
修理が得意! なんでもやのソレちゃん
なんでも屋の大工さん、ソレちゃん。最新作「バムとケロのもりのこや」に登場し、もりのこやを修理してくれるキャラクターです。
これは島田さんが実際に見た大工さんにヒントを得たキャラクターだそうで、自宅の改修工事のとき朝早くから働く大工さんの姿を見て「ソレちゃん」のヒントにしたのだとか。だから朝早くからパンを焼いて持ってきたりするんですね!
ソレノドンというアリクイをモデルにしているから、名前は「ソレちゃん」。
三本耳の不思議なうさぎ「おじぎちゃん」
絵本の端々にこっそり登場している「三本耳」のウサギ。「特に意味はなくて、2本以上耳があってもいいんじゃないか」という島田さんのアイデアで生まれたキャラクターだそうです。「バムとケロのそらのたび」では飛行機より速く泳ぐシーンも!
一度見たら忘れられない!? 「おじぎちゃん」
出典:絵本ナビ
実はおじぎちゃんには作中で名前を呼ぶシーンはないのですが、例えばおじぎさんが乗っている潜水艦に「OJIGI」の文字が書いてあったり、額縁の絵の中のおじぎちゃんが「おじぎ」をする絵など、いろんなヒントが隠されています。ぜひ隅々まで味わってみてください!
その他にも、別のシリーズを読むことで名前が判明するようなキャラクターもたくさん!
シリーズ全5作のあらすじ紹介
「バムとケロ」各話の簡単なあらすじを紹介します。まだ読んでいないものがあったらぜひ探してみてくださいね。
「バムとケロのにちようび」
雨の日曜日にお家で起きるいろんなハプニングを描いた第一作
子供と一緒に過ごす日曜日。子供から「どこかに連れて行って」とせがまれるけれど、外は雨。そんな日はママもどうしようかと悩んでしまいますよね。そんな自分の姿を思い出してしまうような、ある日曜日のケロとバムの過ごし方が描かれています。
まずは掃除をして、それからお菓子作り。お茶の準備をしたら、ソファに横たわってのんびり読書もいいね、というありふれた日常をあらわしたお話なのですが…?
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「バムとケロのそらのたび」
お家の中の話が多いこのシリーズの中、アクティブな冒険に飛び出す話
バムのおじいちゃんの80歳のお誕生日のお祝いをするのに、なんとおじいちゃんから「飛行機」が送られてきました!飛行機を組み立てて、地図をもって、バムとケロはみんなと一緒に空へ出発します!
飛行機を組み立てる道具までおじいちゃんが送ってきてくれます
出典:絵本ナビ
子供はみんなおじいちゃんおばあちゃんに会いに行くのが楽しみ。おまけに、「誕生会」「飛行機の組み立て」「旅行」といった楽しみが一度に味わえる絵本。子供でなくてもワクワクする内容ですね!
途中にはいろんな難関も立ちはだかっていて、冒険心をくすぐられます。「動物は好きだけど虫は苦手」という作者・島田さんの渾身のページも!
前作「バムとケロのにちようび」に出てくる「ふしぎなひこうきじんさん」という本が、この話にも登場します。このつながりだけは子供にもわかりやすく描かれていますよ。
読み聞かせの時に、「この本、どこかでみたことない?」と訊いてみるのもいいかもしれませんね。
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「バムとケロのさむいあさ」
朝起きたらバムの鼻の頭が冷たくなっていました。こんな寒い日なら、おうちのうらの池はきっと凍っているはず!
いそいそと朝ご飯を終えて、釣り具やスケートの準備をして出かけるけれど、そこでバムとケロが見たものは…?アヒルのかいちゃん初登場のお話です。
凍った池でのお話かと思いきや、ちょっとしたハプニングのためにすぐにお家に戻ってきます。
その後もお話はほとんどお家の中で進んでいくのですが、作者・島田ゆかさんもインドア派なのだとか。おうちの中でのんびりするのがお好きなのだそうで、そんな気持ちが表れているのかもしれません。
最後にあひるのかいちゃんがまた面白いことをしてくれますが、どうぞ読んでみてくださいね!
お家の中で遊ぶバムとケロ、そしてかいちゃんの様子
出典:絵本ナビ
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「バムとケロのおかいもの」
この話ではみんなが月に一度のお買い物に行きます。まず、ケロちゃんの破れたチョッキの生地を「きじやさん」で買うことから始まるのですが、そもそもなぜケロちゃんのチョッキはやぶれているのでしょうか?
その秘密は前作「バムとケロのさむいあさ」にあるので、読み返してみてください。
こんなふうにシリーズの前後で小さな物語がリンクしあっているので、読んでいる途中で思わず別の話に手を伸ばそうとしてしまうのが「バムとケロ」シリーズの魅力。
最近見かけなくなった「いちば」での買い物の様子。鮮やかな野菜や果物、見ているだけでワクワクしますね!
出典:絵本ナビ
また、シリーズを通して一番キャラクターが登場するのがこの話でもあります。
特に、別シリーズである「かばんうりのガラゴ」にも登場するキャラクターが勢ぞろいしているんですね。リンクしている内容を、ぜひ探してみてください!
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「バムとケロのもりのこや」
小屋の話というよりも、「なんでも屋のソレちゃん」を書きたくて話ができたというのがこちらの第5作目。
大工のお話を書きたかったので、森の小屋を修理する話になった、とのことです。森の小屋や風景をいろんな角度から描くのが大変だったそうですが、確かに葉っぱ一枚一枚、草の一本一本が丁寧に描かれており、制作に5年もかかったというのも頷けます!
子供は秘密基地が大好きですよね。こんな小屋を見つけたら、自分だったらどうするだろう…そんなことを想像しながら読むのも楽しい一冊です。
細部まで手の込んでいるイラストが圧巻の第5作目。森の葉の音まで聞こえてきそうです。
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絵本のドーナツを再現! 「バムとケロのおいしい絵本」
作中には美味しそうな料理やお菓子がたくさん出てきます。それがなんと一冊のレシピになって登場した、その名も「バムとケロのおいしい絵本」! これはぜひ一緒に作ってみたいものですね。
公式レシピ本はキャラクターのステンシルプレート付き
どの本を見ても美味しそうなお菓子やパンが出てくるのも特徴の「バムとケロ」シリーズ。
それを一冊にまとめた「バムとケロのおいしい絵本」は、ただのレシピ本ではなく、この本でしか手に入らないバム・ケロ・おじぎちゃんのステンシルプレートや、特製クッキーが作れる型紙付き!
次のお休みにはぜひ子供と一緒に作ってみましょう!
誰もが憧れる「やまもりドーナツ」はシンプルで美味しいと評判!
ケロちゃんのパンケーキなど、島田さん自ら監修も行っています
持っているだけで幸せになれる、「バムとケロ」公式グッズ
これだけ長い間人気のある「バムとケロ」。もちろんかわいいグッズもたくさん出ています! 中でもおススメの5つをご紹介しますね!
ケロちゃんのフライパン
ケロちゃんの顔のパンケーキが焼けちゃうフライパン!毎日の食卓が大好きなケロちゃんで溢れます。これはぜひ欲しいですよね。IHクッキングヒーターでは使用不可なのでご注意ください。
可愛いケロちゃんの顔の形に焼けるフライパン
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おじぎちゃんのカフェオレボウル
直径12センチのカフェオレボウルは、果物を入れたりお茶碗としても使い勝手がいいサイズ。食べ終わったらボウルの底からひょっこり顔を出すおじぎちゃんがとってもキュート!
波間にぷかっと浮かぶおじぎちゃんの姿が可愛いカフェオレボウル
バムのタオルハンガー
これは見覚えのある人も多いはず!作中で手を洗うシーンなど、必ず洗面台の横にこのタオルハンガーがありますよね!
これを使えば子供の手洗いの習慣もつきやすくなるかも。作品内で見るグッズはどれも完成度が高いものばかりです!
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ケロちゃんのパスケース
なんでも食べちゃうケロちゃんの顔の形をそのまま生かしたリール付きパスケースです。電子マネーを入れるのにちょうどいいですね。
ケロちゃんの顔の形を活かしたパスケース
出典:Rakuten
キャラクターのぬいぐるみ
最後にご紹介するのはやはりこれ!記事の中では紹介しきれなかったキャラクター達もぬいぐるみになっています。全種類集めたら、絵本の中に入ったような気分が味わえますね。
やっぱり外せないのはキャラクターのぬいぐるみ!

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読むたび新しい発見をする「バムとケロ」の世界
本当はもっとネタバレしたいところなのですが、今から読む人の楽しみを奪ってしまうかもしれないので控えめにしてみました。
実は、あの話のあのページには、あのキャラクターが隠れていて…という密かな楽しみがたくさん詰まっている「バムとケロ」シリーズ。
スピンオフともいうべき「ガラゴ」シリーズも出ており、その両方で秘密を探るともっともっと楽しくなります!こんなに隅々まで楽しめるなんて、ある意味すごくお得な絵本なのではないでしょうか。
持っている人はぜひ、子供と一緒に細部まで「お楽しみ」を探してみてください!