作家レオ・レオニのこと
今ではさまざまな言葉に翻訳され、世界中の子どもたちから親しまれている、レオ・レオニの絵本。作家「レオ・レオニ」とは、一体どんな人物だったのでしょうか。
イタリアの現代美術アーティスト
1910年、オランダのアムステルダムに生まれたレオ・レオニは、絵画に精通している叔父の影響で、パブロ・ピカソやパウル・クレーなどの芸術に囲まれた幼少期を過ごします。
14歳でイタリアへ移住し、21歳のときには「未来派」と呼ばれるイタリアの芸術家グループに名を連ねました。
ところが、ユダヤ人だったレオ・レオニは、ファシスト政権誕生などをきっかけにして1939年にアメリカへ亡命。
ニューヨークのいくつもの新聞社で美術編集担当者、グラフィックデザイナーとして働きながら美術学校や大学にて教鞭を執ることになります。
1945年には米国国籍も取得。アメリカのデザイン業界で大成功を収めた彼は、ついに1959年、自身の孫のために作った「あおくんときいろちゃん」で絵本作家デビューを果たします。
それから3年後にはイタリアへ戻り、「スイミー」や「フレデリック」といった有名作品を筆頭に、40冊以上もの絵本を世に送り出しました。
イタリア国内だけにとどまらず、ベルギーやアメリカでも数々の賞を受賞しています。
レオ・レオニ作品が世界中で愛されている理由
デザイナーであった彼が描く芸術的な挿し絵は、もはや挿し絵ではなく、ひとつの絵画を見ているかのよう。繊細なタッチと柔らかな色合いは、優しさ溢れる絵本のお話にそっと花を添えます。
そして、哲学的な要素を含んだその内容は「心で読む絵本」という言葉がぴったり。時には感情的に、主人公やキャラクターになりきって読み進めなければ掴めない。
子どもたちがただ一読するだけでは、絵本の中にある「本当の意味」を受け取ることはなかなか難しいものばかり。
何度も何度も繰り返し読んでいくうちに、ある日、「ここはこういう意味だったのか!」と気づかされるのです。子どもたちの心が成長した、まさにその瞬間。
レオ・レオニ作品には、読めば誰でも温かい気持ちになれる不思議な力があります。そんなレオ・レオニの絵本に魅せられているのは、もちろん子どもたちだけではありません。
どこの人々にも共通する、優しさや勇気、強さを教えてくれる彼の絵本は、国を超えて、言葉を超えて、これからもずっと語り継がれていくことでしょう。
これまで生み出した絵本は授業にも使われています
「スイミー」、「フレデリック」、「アレクサンダとぜんまいねずみ」は、1977年から小学校2年生の国語の教科書で採用されています。なかでも「スイミー」は、谷川俊太郎訳で30年以上にわたり掲載されている、レオ・レオニの代名詞的作品。
私も小学生の頃に教科書で読んでからというもの、この「スイミー」が大好きです。教科書に載っていた作品で、唯一覚えているのもこれ。
パステルカラーのきれいな挿し絵と勇敢なお話に夢中になって、何度もページを開いていたのが懐かしい。次はわが子たちが学校で読むのかと思うと、ちょっと嬉しい気持ちになります。
レオ・レオニが生み出した愛すべきキャラクターと絵本たち
親しみを感じる可愛らしいキャラクターの紹介とともに、子どもたちにぜひ読んでほしいレオ・レオニのおすすめ作品をピックアップしました。
小さなおさかなが教えてくれる、大きなものに立ち向かう強さ
スイミー
<あらすじ>
兄弟が大きなマグロに食べられてしまった、黒い小さなおさかなのスイミー。
海の中を放浪するうちに、岩陰にひっそりと姿を隠している、兄弟と同じ赤いおさかなたちに出会います。
一緒に泳ごうと赤いおさかなたちを誘うのですが、マグロを怖がって出てきません。
そこでスイミーは、みんなでマグロに立ち向かうためのアイデアを思いつき…
たとえ小さく非力でも、その小さな力が合わさることで、一人では難しい大きな困難にも立ち向かうことができるということを教えてくれる一冊です。
自分が魚の目になって勇敢に立ち向かう可愛いスイミーの姿には、ついつい声を出して応援してしまいそうになりますよ。
水彩タッチの優しい色合いの挿絵もストーリーにぴったり。絵本として読むだけでなく、リビングや子供部屋に飾ってもまた素敵です。
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変わったねずみと、優しい詩的な世界感に癒される
フレデリック
<あらすじ>
石垣で暮らしている、野ねずみのフレデリックがいます。
家族たちは、寒い冬を乗り切るための準備で大忙し。
食料や布団となるワラを、せっせせっせと集めています。
そんな中、フレデリックだけが働かずに動かないのです。
「さむくて くらい ふゆの ひの ために、ぼくは おひさまの ひかりを あつめているんだ」
今度はひとり座り込んでいるフレデリックにたずねると、
「いろを あつめて いるのさ。ふゆは はいいろ だからね」
そんなある日、働かず眠そうなフレデリックに少し腹を立てて、何をしているのかまた尋ねると…
物の見かたに「正解」なんてない。みんな違って、みんないい。
人はそれぞれに素晴らしいアイデアや考え方を持っていて、「同じ」であることが「いいこと」なのではない、ということを、ちょっと変わり者のキュートな野ねずみを通して、子どもたちに語りかけてくれます。
ちょっと得意げに、自分の集めたものを披露するフレデリックの姿が、褒められたときの我が子と重なったりして。ママが読むとまた違った視点で楽しめる、微笑ましい一冊です。
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30年間教科書で親しまれている永遠のベストセラー
アレクサンダとぜんまいねずみ
<あらすじ>
人間に嫌われている、ねずみのアレクサンダ。
背中にネジがついていて、持ち主のアニーに気に入られている、おもちゃのぜんまいねずみのウィリー。
正反対のふたりでしたが、とっても仲良し。
人間に好かれているウィリーのことを羨ましく感じたアレクサンダは、自分もぜんまいねずみにしてもらおうと魔法のトカゲに会いにゆきます。
疲れ果てて家に帰ってきたアレクサンダが、そこで見たものは…
自分には無いものを持っている、憧れのウィリーとの純粋な友情。そこに嫉妬や邪念はありません。
そして自分の願いを叶えることよりも、友を救うことを選んだアレクサンダの姿から、本当の友だちって何だろう?ということを深く考えさせられる作品。
私たち大人にとっては、自分自身の人間関係について一歩立ち止まって考えたくなるようなお話です。まだ幼い子どもたちの心には、一体どんな風に響いているのでしょうか。
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チャレンジすることは怖くない!挑戦する心を育てる本
コーネリアスーたってあるいた わにの はなし

<あらすじ>
卵から孵ったワニの中で、ひとりだけ二足歩行をしているコーネリアス。
自分には遠くの景色が見えることを四足歩行の仲間たちに自慢しますが、みんなに反応は特に興味がない様子。
その無関心ぶりに腹を立て、群を抜け出したコーネリアスは、一匹のサルと出会いました。
コーネリアスは立って遠くを見渡せることを、サルは逆立ちをしたり、尻尾でぶら下がれることを、お互いに自慢します。
自分もできるようになりたい!と思ったコーネリアスは、サルに教えてくれるよう頼み、その必死な姿にサルも応えてくれます。
その甲斐あって、逆立ちや尻尾でブラ下がれるようになったコーネリアスは仲間のところに披露しに向かうのですが…
仲間と違う自分を誇らしく思うコーネリアスから見て取れるのは、「自分に興味を持って欲しい!」という、誰しもが持ち合わせている承認の気持ち。
そして、できないことにトライする強い心。たくさんの可能性を持っている子どもたちに、何事にも臆しない好奇心旺盛なコーネリアスの姿を通して、「やりたい!やってみよう!」は怖くないんだ!と思わせてくれる。
挑戦することを恐れる子どもたちの背中を、レオニの言葉がそっと押します。
人生を重ね、「自分」に自信を失いがち。始める前から結果に目を向けてしまう。そんな失敗を恐れる大人の私たちこそ、子どもと一緒に読みたい一冊でもあります。
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抽象画なのに感情移入ができる不思議な絵本
あおくんときいろちゃん
<あらすじ>
「まる」のあおくんときいろちゃん。
きいろちゃんと遊びたくなったあおくんは、一生懸命探してようやく出会うことができます。
嬉して嬉しくて抱き合って喜んでいると、いつのまにか緑色になってしまいました。
そのまま家に帰ったふたりですが、どちらの家でも「うちのこじゃない」と言われて泣いてしまい…
登場人物のすべてが、ちぎり絵の抽象画。目も鼻も口もありません。
カタチだけなのに挿絵から伝わってくる躍動感に、気付けば感情移入してしまっているという不思議な感覚になる絵本。
デザイナーのレオニらしく、「色」を使ったあおくんときいろちゃんの感情表現には、関心せずにはいられません。
この絵本が、レオニの最初の作品にして最高傑作と呼ばれる所以が、読めばきっと分かりますよ。
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「らしさ」ってなんだろう?自分探しで見つけた答えとは
じぶんだけのいろ
<あらすじ>
どんな「いろ」にも変わることができるカメレオン。
オウムは みどり、きんぎょは あか。
みんなそれぞれに「いろ」を持っているけれど、カメレオンには「じぶんのいろ」がありません。
「じぶんのいろ」を持てないことを嘆いていたある日、同じように「じぶんのいろ」を持ってないカメレオンと出会います。
同じ哀しみを共有したふたりは…
いつの間にか周りにあわせている自分。ほんとうの自分をさらけ出せない自分。
「どれが本当の自分なんだろう…」とわからなくなった経験があるママも多いのではないでしょうか。
そんな自分自身を見失いかけたときに、そばにいてくれる存在があるという安心感と喜び。
もう1匹のカメレオンに出会えたことで、自分自身を受け入れられるようになってゆく主人公の心の変化が見て取れます。
なんとなく恋人や夫婦の関係にも見える、少しキュンとくるストーリー。
読む年齢で捉え方が変わる一冊ですから、親子でずっと楽しめますよ。
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高い高い壁の向こうに待つものは…?ベルリンの壁を彷彿とさせる「諦めない勇気」
どうする?ティリー
<あらすじ>
あるところにティリーという小さなねずみがいました。
ティリーが住む場所には、高く高くそびえ立つ大きな壁があります。
そこにあるのが当たり前で、誰もその壁のことなんて気にもしていません。
でもティリーは違いました。
壁の向こう側には、もっと素敵な世界があるのかもしれない!と期待に胸を膨らませながら、壁を乗り越えるために色んな方法で壁に挑んでいく…
ベルリンの壁崩壊の年(1989年)に作られたこの絵本。
無謀とも思えるものにも果敢に挑んでいく、ティリーのその小さな背中から感じるのは「諦めない勇気」です。
諦めることは簡単。でも願いを叶えるためには、どんなに先が見えなくても諦めないことしかない。
読んでいるうちに、いろいろなアイデアで壁に立ち向かうティリーを、いつの間にか全力で応援している自分がいます。
粘り強い心を育てたいママにおすすめの一冊。
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いつもあなたのそばに。生活に取り入れたいレオ・レオニのグッズ
絵本だけじゃもの足りない!日々の暮らしに取り入れたい、生活に溶け込むレオ・レオニのグッズをセレクトしました。
「スイミー」コットン100%オックス生地
出典:Rakuten
水彩タッチの挿絵の雰囲気はそのままに、使いやすいオックスにプリントされた「スイミー」の生地。幼稚園グッズや、ママのポーチづくりなどにおすすめです。
手持ちのものと喧嘩しないシンプルなデザインで、特に北欧アイテムとの相性が◎。
あおくんときいろちゃん皿
いつもの食卓にもレオ・レオニを。「あおくんときいろちゃん」が並ぶ、小さめの角皿をご紹介。
絵本からそのまま飛び出してきたような、色鮮やかなあおくんときいろちゃんがコロコロ可愛らしい。
こどものおやつ皿として、フルーツを乗せるお皿として、色んな使い道が見つかる万能サイズです。同じシリーズでプレートやマグもあります。
折り紙
「フレデリック」や「スイミー」など、レオ・レオニ作品の人気キャラクターたちが立体で折れるおりがみシリーズ。立体とあって、より絵本をリアルに感じられます。
60枚入りでしっかり遊べて、ちょっとしたプレゼントにしても喜ばれそう。折ったあとは、オブジェのように並べて子ども部屋に飾っても素敵ですね。
ママも家事の手を止めて、つい一緒に遊びたくなるような可愛らしい折り紙です。
ミストグラフ
現代の特殊技術を用いた版画のような手法のミストグラフ。それにより、原画をそのままお部屋に持ってきたような美しさを感じることができます。
特に、芸術性の高さで人気の「スイミー」。単体ではもちろん、並べて飾ることでより素敵な空間を演出します。絵本の挿絵としてではなく、ひとつのアートとして楽しんで欲しい絵画です。
シューズケース
出典:Rakuten
「チコと きんいろの つばさ」をモチーフにした、シックで落ち着いた印象のシューズケースです。ゴールドのボタンがアクセント。キルティング仕様で強度も申し分なし。
こどもの上履き入れとしてはもちろんですが、このおしゃれ感はぜひママに使って欲しいアイテムです。
レオ・レオニの絵本で、親子の距離をグッと近くに。
子供の頃の絵本の読み聞かせって、とても貴重な親子のスキンシップですよね。レオ・レオニの絵本は読むタイミングや年齢、その時の心のあり様で、いろいろな角度からストーリを捉えることが出来る不思議な魅力があります。
「ここはどんな風に感じたかな?」とか、「こんなとき、あなたならどうする?」と、絵本を通して子どもたちの心の内を引き出してみましょう。
ママと子どもの距離をグッと縮めてくれる、心温まるお話を、ぜひ親子で楽しんでみてくださいね。